――春…それは、出会いとはじまりの季節。
「んーっ!!」
入学式も終わって、今日は帰るだけ!
「李花ー、帰るわよー」
「はーいっ!」
お母さんの呼び掛けに元気よく返事をしたものの、あたしの足は動かない。
(…ここが、今日からあたしが通う学校かぁ)
しみじみと、そんなことを思ってみたりして。
その時。
――ッ
「うわっ!!」
風が、ふいた。
桜の花びらが、はらはらと散っていく。
「あぁ、びっくりした…」
そう、一人呟いた途端――あたしの視界に、一人がいることに気づいた。
黒い、長い髪…。
瞳も、澄んだ黒…。
散る桜の花びらと、その人。
まるで、一枚の絵のようだと思った。
・ ・ ・
初めまして! 和泉李花、です。
ええと。見た目は…堅い髪質+ショートカット、ということで髪の毛がツンツンしてるのが特徴…かな。
後ろから見てもすぐわかるって、友達にも言われた。
あ! あたしは、言わなくてもわかってくれると思うけど、女です。
親友は二人とも男なんだけどね。
なぜか女の子の友達が少ないんだ。
ま、別にいいけど。(いや、本当はほしいけど…)
そうそう、あたしは今日から中学生なんだ!
ワクワクするなー。あんなコトとかこんなコトとか…。
まぁ、なんにせよ、はりきって学校生活を送ろうと思います!