「風が気持ちいいねぇ」
若葉の頃。
…の、ワリに日差しが厳しい昨今。
――地球温暖化、とかいうヤツの所為なのか。
美海の言葉に隣に並んでいた樹が「だね」と応じる。
「…夏か」
「気が早くない?」
美海の言葉に「ナニゴトも早め早めの行動がカンジン☆」と樹は笑う。
「…ねぇ」
「ん?」
「今度、さ」
「? うん」
大まかハキハキシャキシャキしている樹の歯切れの悪い様子に美海は首を傾げつつも、言葉の続きを待つ。
「二人で出かけない?」
「………」
美海は瞬いた。
瞬いて、瞬いて…視線を、樹から外す。
あからさまなその様子に樹は密かにショックを受けた。
――が。
「…バイトが、なかったら、ね」
「…!」
美海の返事に樹は「おっしゃあっ!!」とガッツポーズを決めた。
「…って、バイトのが優先!?」
「うん、そう」
「えぇぇえぇっ!!!」
…一応オツキアイをしているハズの彼女の言葉に、樹は叫んだ。