SIZUKU

「雨…!!」
「…だな」
 衝撃を受ける小さな少女…潤とは裏腹に、隣に立っているノッポなオトコ…穗波は淡々と応じる。
「え、今日雨の予報だったの!?」
 天気予報を見ていない潤が半ば叫べば、穗波は「午後の降水確率は30%」と静かに呟いた。
 折り畳みではない、ダークブルーの大きな傘を広げる。
「…そーやん!!」
 ガシ、と潤は顔二つ分…下手すればそれ以上…大きい穗波のベストの裾を掴んだ。
 穗波の腰は潤の腹くらいの位置である。
「途中まで入れて!」
 駅付近まで、二人は同じような道を歩いていた。
 別れるところからなら、駅まで五分もかからない。
 雨は降っているが…今の振りかたであれば、五分くらいなら、そんなに濡れないで済むだろう。
「…あぁ…」
 構わない、と穗波は隣を示す。
 潤は「お邪魔シマス!」とそこに納まった。

きみの隣モドル