UTAGE

「一杯飲まない?」
「ん?」
 居間でくつろいでいる双子の姉にみちるは声をかけた。
ワインこれ
 言いながら掲げたモノに「…未成年…」とかおるはぼやくが、みちるは「にゃはは〜」と笑って誤魔化す。
「血行がよくなって、体が暖まるよ」
 多分、と付け足すみちるに「多分なのか」とかおるは苦笑する。
 父親が開けたワインだが、中途半端に残っている。
 「アルコール分軽いし、よかったら飲みなさい」と少々アバウトな母親にも言われてはいた。
 小さなグラスでは、半分注いだ位ならば二口程度で中身は終わるだろう。

「半分、な」
「…うん!」
 みちるはパッと顔を輝かせる。

 食後の小さな酒宴が始まった。

砂倉居学園モドル