「オハヨ」
「…――」
穂波は、ぼんやりと目を開いた。
目の前にいるのは…クラスメイトで、同じ部活の元気っ子。
「…千堂…」
「そーやん、よく寝てたよ。思わずつつきたくなるくらい」
「……」
――で、有言実行でつつかれたらしい。
穂波はくあ、とあくびをする。
「春眠暁を覚えず…」
「へ? …ナニ???」
パチパチと瞬く潤に穂波は瞬いた。
もう一つ、あくびをする。
「…春は眠い」
穂波の一言に、潤はちょっとばかり首を傾げた。
「そーやんは、いつも眠そうに見えるけど…いつも以上に?」
問いかけに穂波は少しばかり考える。
「いや」と短く応じた。
「…いつも通りだ」
穂波の答えに潤は笑う。
…そういえば、三月が誕生日だった気がしたな、と頭の隅で思った。