KASUGA

 ――どうか、このままで。
 何度も、何度も思った。

 春の陽射しと、木漏れ日と。
 微笑む、彼女。

「アキ」
 …優しい声。
「ユウ」
 …柔らかな掌。

 多分、きっと――『今』以上など、存在しないのだろう。
 …そう、思えることは…幸せなことなのか。
 不幸なことなのか、他人に言わせれば、わからないけれど。

 どうか、このままで。
 彼女と、共に。
 …三人で、一緒に。
 ――過ごせる時を、望む。

クニサカの樹モドル