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―0<Ⅱ>―

「いい部屋だったろう?」
 ああ。…本当に、宇宙みたいな部屋だったねぇ。
「だろ?」
 しかしなぁ…。ありゃあ『部屋』かい?
「まぁ、細かいことは気にするな」
 ――細かいかねぇ?
 …しかし、まぁ――ありがとう、会わせてくれて。
「いや、いいよ。…いろいろと、話せたかい?」
 あぁ、そうだね。いろいろと、話せたよ。
「言いたいことは、言えたかい?」
 そうだな。…なんでか…あの子は、わしに『借り』があると思っていたようだよ。
「借り?」
 あぁ。でも、そんなのはあの子の気のせいさ。
 返されるものなど、何も無い。あの子がいてくれただけで、わしは幸福だった。
「――それを、アイツに言ったかい?」
 …言えるわけがないだろう? 恥ずかしい。
「ははっ! まぁな。――あぁ、思ったんだが。わざわざここに来なくてもアイツは…あんたの孫はあんたと会えたんじゃないか? 結構な『力』の持ち主じゃないか」
 …だからそこ、だよ。けじめはつけんとな。
「ははっ、なるほどね」

 ところで、何か…礼金のようなものは必要なんだろうか?
「いや? もらえるならもらうがな。布施みたいなもんだ」
 ふっ、気持ちばかりを、か?
「そうだな。そんな感じだ」
 …じゃあ、わしの一番の宝をあずけるよ。
「ん? なんだ? しかも、『譲る』じゃないんだな」
 あぁ、そうさ。
「――で? 一体何をあずけてくれるんだ?」
 もう、予想はついてるんじゃないかい?
「予想はな。だが、あんたのいう『宝』とは違うかもしれない」
 …じゃあ、頼むよ。わしの宝を。
 優しい子なんだよ。
 爺さん思いの、優しい子なんだ。
 どうか、わしの代わりに…わしの分まで、頼むよ。
「まぁ、今回の礼金ならしょうがない」
 そんな口調で言っても騙されないよ。わしは人を見る目には自信があるんだ。
 ――あんただから、頼むよ。

会の家<完>

2003年 9月 6日(土)【初版完成】
2012年 7月21日(土)【訂正/改定完成】

 
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