WAKABA

「あ」
「あ?」
「若葉だ」
「…? 若葉だな」

 言葉を繰り返すロンダルにオーフォは振り返った。
 眼鏡越しのロンダルの瞳は、僅かに緑がかった灰色。

「――お前の色だな」

 オーフォの言葉にロンダルは瞬く。
「…こんなに鮮やかじゃないだろうが…」
 ボソリと呟いたロンダルにオーフォはニッと笑う。
「目の所為もあるかもしれないけど、お前のイメージはなんとなく緑色」

 再びロンダルに背を向けたオーフォは続けた。

「決して“爽やか”ってわけじゃないけどな」
「………」

 ロンダルはしばらく、オーフォの背中を見送った。
 …そして。

 ガツッ

「い!? イタ…痛い?! なんだよロンダル!!」
「――他意はない」
「人殴っといて『他意はない』ってなんだそりゃーっ?!」

 若葉から零れ落ちる光の中、オーフォの叫びが木霊した。

万力の杖モドル