新緑の季節。
若葉の眩しい季節。
――さぁ。
「昼寝しようかな」
「お前は季節問わず年がら年中そうじゃねぇか」
男…シャルドの言葉に、イリスはくるりと振り返る。
「いいじゃない。寝るの好きなんだもの」
「…まぁ、いいっちゃいいが…」
俺が口出しすることじゃねぇしな、とシャルドは微かに息を吐き出した。
僅かに青味がかっている瞳を細める。
「今の時期が外で昼寝するのに丁度いい気温なのよ」
「…あぁ、」
「春と秋でもいいけどね。急に肌寒くなったりもするから」
夏と冬は言わずともわかるかもしれないが気温が高すぎるか低すぎる…となかなか饒舌に語る同僚にシャルドは視線を泳がせる。
(昼寝に関しては貪欲だな…)
ひっそりとそんなことを思ったシャルドに「何か言った?」とイリスは問い掛けた。
口に出していたか、と慌ててシャルドは口に蓋する。
「…別に」
声にしてはいないと気付き、シャルドは密やかに安堵のため息をついた。