「ヒメ発見」
「……」
遙の声にヒメ…こと、慧は顔を上げた。
様々な部屋の中で、今日は若葉の間にいた慧。
しばらくぼんやりとその部屋を眺めていた遙ではあったが、慧へと視線を移し、問い掛けた。
「今も丁度こんな時期だよ。外、行ってみる?」
遙の言葉に慧は瞬いた。
慧が口を開く前に…
「行ってやってもいいぞ」
「どあっ!」
…今の今まで全く気配のなかった男が応じる。
白っぽい髪に、赤い瞳。
遙に向けて、ニタリと笑みを見せる。
『二人だけで出掛けよう…なんていい度胸だな』
…遙だけに届く声で、そんな男の声が聞こえた。