WAKABA

「らんらんらーん♪ らんらんらーん♪」
「…どうしたの、トール…」

 歌っているのか呼んでいるのか微妙なトコロの声に蘭は瞬いた。

 「ん?」と刀流は蘭へ振り返る。
 ニッと満面の笑みを見せた。

「こうやって蘭の隣にいられるのが嬉しくて」
 つい浮かれる、と笑う。

「………」
 蘭はなんとなく言葉を失った。
 なんと応じたものか、と口元を手で覆う。

「? どうした、蘭。顔赤くないか?」
「…気のせいっ」
 若葉を揺らす爽やかな風が蘭の火照った頬をくすぐった。

TO−RUモドル