零れ落ちそうな雫に、リクは手を伸ばした。
触れた瞬間、指先を濡らし、広がる冷たさリクは視線を落とす。
「…何をしているんだ?」
ユイの問い掛けに、リクは視線を手元からユイへと移した。
「水遊び」
「………」
まぁ、確かにそうか。
ユイはそんなことを思いつつもリクの隣へと並んだ。
…と。
ざぁ、と風が吹いた。
木々を揺らし、雫を溜めた葉を揺らし…その雫を二人は浴びる。
「…チベタイ…」
「……」
呟くリクと、沈黙のままのユイと。
ユイはリクの手を引いた。
「…戻るぞ」
「――ふぁい」
リクは大人しくユイに手を引かれ、その場から仲間…と荷物…の待つ場所へと向かった。