東屋から、ぼんやりと公園を眺める少年がいた。
深い青…僅かに緑がかった瞳と、黒髪。
少年の隣には柔らかそうな小麦色の毛並みと、晴れた日の空のような青い瞳の猫がいる。
「…カンタ」
「なぁう」と少年に答えるように猫が鳴いた。
少年は猫に視線を落とす。
「――コエが、聞こえるね」
少年に応じるように、猫がまた「にゃあ」と鳴いた。
少年は、笑う。
「行こっか」
少年が立ち上がると同時に、猫が先頭をきるようにして走り出す。
――雨の中、まるで気にしないように少年も猫を追うように走り出した。