HOTARU

 ここにいるよ、と示す。

「ぼーっとして、どうした?」
 声に、確かにぼんやりしていたユーダは驚いた。
「ほ、へ?!」
 妙な声にユーダに声をかけたオーフォがくくっと笑う。
「ビビリすぎ」
「…すいません」
 ユーダの謝罪に「別に謝ることはないが」とオーフォはユーダの隣に並んだ。
 ユーダの視線の先を追うように、見つめる。

「蛍か?」
「はい」
 独り言のようなオーフォの声にユーダは応じる。
「いつの間に…いたんですね」

 ここにいるよ
 自分は、ここにいるよ

 光で示す、己自身。

「そうだな」
 微かな光。
 小さな光。
 けれど…確かな、イノチヒカリ

万力の杖モドル