降り注ぐ日差し。
「――暑い」
端的な呟きに、さくらは振り返った。
「大丈夫?」
「…まだ」
「大丈夫」と浅く息を吐き出しつつ言った。
春の額に、さくらの手が触れる。
「熱いねぇ」
「…さくらの手が、冷たいんじゃない?」
体調を崩したカンジの、体温の高さではない。
さくらは春の額に触れていた手の平を一度離して、今度は手の甲を当てる。
薄く笑みを浮かべた。
「――元は、ヒトじゃないからね」
「…え?」
暑さにややぼんやりしていた春は、さくらの言葉を聞き逃した。
何か言っていたことはわかったのだが。
聞き返すように声を上げた春にさくらはまた、笑った。
今度はにっこりと。
「心があったかい証拠だよ」
額から手を外しつつ、さくらは「ふふ」と声を漏らす。
「…そっか…」
「え、ツッコミなし?!」
すばやく切り返したさくらに、春は「へ?」とぼんやり、首を傾げた。