「あっちぃー…」
「夏だからな」
淡々としたオトコ…ユーラに少女…アリアは視線を向けた。
常にカッチリした格好をするユーラ。
今も、腕まくりはしているが長袖に、ベスト、ついでに長ズボン…と、見ていてなんとなく暑そうな恰好をしている。
「…ユーラ、あっつくねぇの?」
タンクトップに、短パン、と下手をすれば下着姿のようなアリアにユーラは振り返った。
「暑い」
「…そうか」
それでもその格好なんだな、とアリアはぼやく。
「心頭滅却すれば火もまた涼し…とな」
「…へ?」
「脳を誤魔化せればどうとでもなる」
「――ふぅん…」
だらけているアリアの頭にユーラは水でしぼった布をかぶせた。
「首にやれば少しは楽だぞ」
「…アリガト…」
アリアはユーラの言葉に従い、濡れた布を首に当てた。