とっぷりと、暮れゆく色を眺めた。
「今日はまた一段と赤いな」
克己が漏らした声に、眞清は視線を向ける。
「空気が澄んでいるんですかね」
「そういうことなのか」
克己の眺める視線の先に、眞清もまた視線を向けた。
瞳に映る色の名を並べれば、一体どれほどになるだろう。
金とも言えるような黄。
琥珀、赤、紅――。
雲の白に、宵へと向かう淡い紫。
「きれいだ」
空の色に感嘆の声を上げる克己。
眞清は克己へと視線を移す。
夕日に染まり、濃いオレンジ色に染まっている克己の横顔を見つめ、ポソリと漏らした。
「きれい、ですね」
克己は「ああ」と応じながら、眞清の視線に気づかない。
眞清は少しだけ笑って、視線を夕空へと移す。
吹く風が、秋の始まりを告げていた。