視界に映る赤を見上げた。 隣の存在も、倣うように視線を上げる。
「もう、秋だね」 先に赤を見上げた少年…水樹はぽそりと呟いた。 倣うように視線を上げた氷見は、赤に染まった葉から主である水樹へと視線を戻す。 「…はい」 短く応じて、再び見上げた。
――赤い散る葉に何を思い、誰を思うのか。 主を思い、氷見は瞳を閉じた。