TOIKI

 単調な音に視線を向けた。
 単調に繰り返されるのは、呼吸。
 ――吐息。

「……」
 幼い顔立ちだが、眠っているのを見ると案外大人びた印象になる。
 ――整った顔をしている、と知れる。

 じっとその顔を覗きこんだ。
 …よく眠っているらしい。

「――…」
 オーフォ、と音にしないまま呟いた。
 繰り返される吐息に…眠ったままのオーフォに、我知らず顔を近づける。
 ――と。
 つい先程まで閉じていた目が、開いた。
 ロンダルはややぎょっとして、そのまま頭突きをかます。

「――ったぁ?!」
「…起きろ」
「いきなり何すんだ、ロンダル?!」
 オーフォの半ば叫びに「頭突き」と淡々と応じる。
 視線を背けながら、ロンダルは我知らず口元を押さえた。

 眠り続けるオーフォに、自分は何をしようとした?
 ――あのままオーフォが目を開かなければ…自分は。

「起こすにしたって別のやり方があるんじゃねぇのか…っ」
 額を撫でつつオーフォは言った。
「――石頭が」
 今更じんわり痛んできた額を押さえつつ、ロンダルはぼやく。
「おめぇから仕掛けてきたんじゃねぇかっ!!」
 オーフォの文句にロンダルは答えず、自問自答をしていた。

万力の杖モドル