「アルスタイン〜」
呼びかけると、彼女は微笑む。
…優しい笑顔。
知り合ってからの日は長いとは言い難いが…アリアは、アルスタインが大好きだ。
「今日も寒いな! 吐く息白くってさ」
「…あぁ、そうなのね」
窓の外を眺め、アルスタインは頷く。
――体が丈夫ではないアルスタインは、外出する機会が少ない。
窓の外を眺め、季節を感じる程度だ。
「今日は、何がいい?」
アリアは、アルスタインの為に歌を歌う。
――寂しげな笑みを浮かべるアルスタイン。
「そうね…」
アルスタインに、寂しげじゃない笑顔になって欲しくて。
今日も彼女の為に、歌を。
――彼女の望む、歌を歌う。