「…案外、飲めるんだ」
「ん?」
リーシャは注がれた酒を飲んで、首を傾げる。
「リーシャ、酒飲めるんだね」
「あぁ、母さんが結構強くて」
「その所為かも」とリーシャは少しだけ笑う。
たまには皆でゴハンもいいじゃないか、とリーシャの友人の――人懐っこい――アンナ宅で食事会が行われていた。
誰が持ち込んだのか、酒もあり、食事会はいつの間に宴会テイストになっている。
「……」
口調も視線もしっかりしているが、やはりアルコールは回るのか、リーシャは少しばかり赤かった。
リーシャが酒に弱かったらお持ち帰りしたんだけど、と邪な考えはチラリとも見せず、「カワイイ」と耳元で囁く。
アルコールだけではない赤みがリーシャの頬を染めた。
アゴルはまた「カワイイ」とこっそり惚れ直す。
「…アゴルは飲まないのか?」
「ん? うん、俺はね…人が大勢の時は飲まないようにしてるんだ」
「「「「「…………」」」」」
え、ソレってどういう意味?
――聞こえた面々だったが、アゴルの輝く笑顔になんとなくツッコミを入れられなかった。