YUKIMI

 今朝も冷え込むなぁ、なんて思いながら一人、歩いていた。
 学校が見える。
 あと五分もしないで教室に入れるだろう。

 …と…。
 春は、視界に映った気がしたモノに思わず空を見上げた。
 ヒラリ、ハラリ…白いモノが、映る。

「――……」
 雪、だった。
(道理で寒いハズだ…)

 ふと息を吐く。
 春の吐いた息は白く染まった。
 ヒラリ、ハラリ…視界に映る、モノ。
 触れれば融けてしまう、雪。
「……」
 雪を見て…春はなぜか、花を思う。
 ヒラリ、ハラリ…散る。

 淡い色の、はなを。

SAKURAモドル