「オ」
「ん?」
双子の妹の声に瞬くが、その理由はすぐに知れた。
「…あ」
空を見上げる。
気の所為か、とも思ったが…気の所為ではないようだ。
「…雪」
「雪ダネ」
空に手を伸ばし、舞い降るものを捕まえる。
「取れた?」
僅かに笑いの含められた声に「ドーカナ」と妹…美波が手を広げる。
「あ」
「ん?」
振り返りつつ、再び上がった声に双子の姉…美海が問いかけるような声を上げる。
「だーれだ」
「……」
視界が暗くなった。
声、は。
「樹」
視界が覆われた美海ではなく、その様子を眺めていた美波が応じる。
「お前が言うなっ!」
視界が暗いまま、そんな声が聞こえた。
声を聞きながら、美海は思う。
(…やっぱ仲いいよねぇ…)
美海の視界は暗いまま、ぎゃいぎゃいと口喧嘩は続いた。