ひらひらと舞う雪。
「ゆ、き、だーっ!」
李花は歓声を上げた。
そんな様子に、一緒にいた正明は少しばかり笑う。
「雪だな」
声に振り返り、李花は少し首を傾げた。
「あべっちって、誕生日いつだっけ?」
突然の問いかけに正明は瞬いた。
「冬生まれだったっけ?」
答えないままでいる正明に李花は続けて問いかける。
「いや…春、だが」
なんでそんな話に、という表情そのままに正明は応じる。
正明の言葉に、李花は「そっか」とほんの僅かに笑みを見せた。
「冬っぽい」
「……」
応じるべき言葉に迷い、正明はただ、瞬いた。