「……」
「ヒーメ」
後ろ姿に声をかけた。
遙の呼び掛けに振り返るのは、少女。
将来を期待できそうな美少女は、あまり表情の変化が見られない。
「ナニ見てんの?」
「………」
問いかけに答えはない。
ある意味いつものことで、遙は別段気にしない。
ヒメ…こと慧の視線の先を追うように、遙もまた視線を外へと向ける。
その、先には――
「雪、見てた?」
「……」
慧は答えなかった。
声では答えず、こくりと頷いた。
(……カワイイかも)
「…『かも』じゃねぇ」
地を這うような声に遙は思わず「うはっ?!」と声を上げる。
――振り返れば、ソコに霄がいた。