一点を見つめるイリスの様子にシャルドは気付いた。
じっと。
…動くことなく。
「…ディンセント?」
シャルドは小さく声をかける。
くるりと振り返ったイリスに「寝てなかったか」と思った。
あまりにも動かなかったので、目を開けて寝ているかと思ったのだ。
「ナニ?」
「―…いや、あまりにも動かないから寝ているのかと」
シャルドは正直に告げる。
イリスは「起きてるよ」とちょっとばかり笑って、視線を戻した。
シャルドは「何か、あるのか?」と問いかける。
「うん。…氷柱」
「? あぁ、氷柱か」
シャルドもイリスの視線の先に目を向ける。
見つけたモノに呟きをもらした。
「…面白いか?」
「ん? 別に…なんとなく眺めてるだけ」
シャルドは氷柱を見つめるイリスへと視線を戻す。
「寝るなよ」
寝るのがダイスキなイリスへ言うと
「努力シマス」
やや片言でイリスが応じた。