KOORI

 通学路の途中、融けた雪が水となったようで、氷が張っていた。
 斗織はソレを踏まずに歩く。
 滑って転んだりしないように…自ら、氷を避ける。
(…アイツなら踏んで割ってそうだな)
 斗織はそんなことを思って、僅かに目を細めた。
『アイツ』…真斗。
 斗織と一緒に暮らしてはない、双子の弟。

 ずっと、知らなかった存在。

(なんでアイツを思いだしたりするんだ…)
 斗織は我知らず息を吐き出す。
 ――何の溜息か、自分自身分からなかったけれど。

いとしいきみへモドル