冷え切っていた、のか。 もともとが『冷たい』モノだったのか。
自分で判断することはできない。
ただ――彼女と出会い、彼女を大切だと思うようになった。 それは、確かで。
…ソレは誰でもよかったのか…。 彼女が故に、自分の中の『冷えていた部分』がとけだしたのか。 今でも、わからないけれど。
『トーマ』
――彼女が、自分を呼ぶ。 自分の名を、呼ぶ。
「――……」 声にすることなく、彼女の名を呟いた。 …声にして呼べない、少女の名を。