夢の中では、あまり『気温』を感じない。
その筈だ。
…だが。
「サムイ!」
レイランは叫んだ。
「…なんというか…見てて寒いねぇ…」
隣のマヒルも同意を示す。
視界に広がるのは、巨大な氷。
南極か北極か…とりあえず、まるで氷の世界にきてしまったかのような風景。
レイランはアラジン風…ヘソ出しに、ダブダブのズボンという出で立ちで、マヒルは長袖とはいえ、セーラー服姿だ。
実際の気温はどうだかわからないが、目に映る氷の世界になんとなく寒気を感じてくる。
「…どうするの?」
マヒルはレイランへと問いかけた。
紫色の長い髪を揺らして、マヒルへと振り返る。
「ゴーッ!!」
「…って、また?!」
マヒルはレイランに背中を押される。
…氷に向かって、突き出された。