「えぇと…まぁ、お客さんもいることだし、自己紹介するか」
部長さんは自分の胸元を指さした。
「内海典子。一応部長」
「はいはーい! 三森朝恵、副部長!」
部長さんの隣で元気よくアサエちゃん…ってか…
「3年…?」
「え? うん」
アサエちゃん――アサエさんはあっさり答えた。…見えなかった…てっきり1年だと思ってた…。
アサエさんは首を傾げる。その隣の少し髪の長めな女の子と目が合った。つばきちゃんよりは短いけど、アサエさんに比べると結構長い。
ぽそり、と口を開く。
「…天野エリカ。名前負け…」
「……」
「名前負けって…」
あたしが思ったことを、眞清は口にした。
順番に回っていって、次はおとなしそうな、あたしの正面に座ってる女の子。なんとなく、視線が集まる。
「えぇと…柴田栗子」
「グリコ?」
「眞清…」
聞き間違えたのか、呟いた眞清に思わず突っ込みを入れる。
「え?! 栗子、です」
「敬語じゃなくていいよ、クリコちゃん。クラス違うだけで同じ年なんだから」
コイツちょっと老けてるけど、と眞清を指させば「人のこと言えないじゃないですか…」と返された。
「二人は『老けてる』じゃなくて『オトナっぽい』だよ。どっちかってーと」
「そうそう。キレイな顔してる」
あたしから見て右側の二人の言葉。「どうも」と言えば「イイエ」と微かに笑う。
なんか…しぐさが大人びた人だな。なんとなく。髪の色が茶色っぽいのがよく似合ってる。
視線がつばきちゃんに向かった。あたしもつばきちゃんを見る。
つばきちゃんは「あ…関戸つばき、です」と言いつつ少しだけ俯いた。
「東堂操」とつばきちゃんの隣…エリカさんの正面の席の人が首を傾げつつ名前だけ言う。
「私は葛木京」
指を組みながら言って、視線を眞清へ向けた。「イイエ」と笑った人だ。明るい色の髪が揺れる。
順番的に眞清になった。
今までたんたんと進んできた自己紹介だったけど、止まる。
「…眞清」
つつけば、眞清は数度瞬きをした。
(…なんか…)
今日の眞清、いつもより変な気がする…。
「あ…蘇我、です」
「フルネームじゃないんだ」
ケイさんのつっこみに「眞清です」と微笑む。ケイさんも微笑む。
そして…あたしの番か?
「あ、大森克己。ヨロシク」
「よろしく」
ノリコさんはそういうとそのまま「…というわけで、乾杯」とコップを持ち上げた。
「えぇっ、飲み物配ってないよ!」
「あ、ホントだ…」
「うつみん、変なトコロでぼけないで…」
ボソリと呟いたエリカさんにアサエさんも頷く。
「テストボケだよ」
ノリコさんはそう言って「何飲む?」とあたしに問いかけた。
自分でウーロン茶を買ってあったけど、あたしはオレンジジュースをもらうことにした。
眞清はケイさんから緑茶をもらっていた。
「じゃ、改めて…乾杯」
「「「「乾杯」」」」
言いながら、あたしの持ってる紙コップを軽くノリコさんの紙コップにあてた。
次に腕を伸ばしてきたアサエさん、一応眞清。
クリコちゃんとつばきちゃんはちょっととどかなかった。