「うざったい」
「…一言目がソレ…?」
マヒルはポソリと目前の、十歳くらいの少女に呟く。
「だぁって」
長い長い紫の髪と、琥珀色…金色とも思える、瞳。
夢の中に現れる少女レイランはちょっとばかり唇を尖らせた。
「この雨の量! 超うざい!!」
「………まぁねぇ…」
滂沱、とはこういうものを言うのか。
マヒルはそんなことを思う。
「と、いうわけで」
にぃっこり。レイランは笑った。マヒルは思わず、一歩退く。
「…ナニ、その態度」
レイランの言葉にマヒルは「身の危険を感じる」と小さく呟いた。
そんなマヒルに「やぁねぇ」とレイランはまた、笑う。
「逃がさない♡」
「きゃぁああああっ!?」
…マヒルはレイランにその雨の中、放り出された。