「夕日に向かってゴーッ!!!」
「えぇっ?!」
半端なく近い太陽。
燃えるような夕日。
暑さや熱を感じるわけではない。
…夢だと、わかっているから。
けれど…。
「あたしだけ? あたし一人で?!」
紫の髪と、琥珀色の瞳。
膝の後ろまでありそうな長い髪を高い位置で縛っているレイランは数度瞬いた。
「あったり前」
「妙に力強いね!?」
夢だとわかっていても…ただの『ユメ』とは違うことをわかっているマヒルは「うぅーっ」と呻いて夕日を眺める。
――大きすぎる。近過ぎる。
なぜこんなにも――不安に思うのか。
「夢だから大丈夫」
語尾にハートが付いていそうな口調でレイランは言った。
「れっつごーっ!!!」
「えぇえええっ!!!」
…結局、強制連行されるマヒルだった…。